【翻訳】Netflixから学ぶ、事業を成長させるリーダーシップとは<前篇>

世界で活躍するリーダーたちの寄稿記事を翻訳しご紹介する「グローバルリーダーからのメッセージ」のコーナーを開始します。第一回目は、Sega of AmericaやNetflixでVPを勤めた経験もあるギブソン・ビドルが、自身の経験について、リーダーに向けてMediumに寄稿した記事、“Leaders Lead”をお届けします。読み応えのある三部作です。


ギブソン・ビドル(Gibson Biddle)
2005年よりVP of ProductとしてNetflixに参画。Chegg社にてChief Product Officerのほか、The Leading CompanyでVP、Sega of AmericaにてVP of Product Developmentを務めた経験を持つ。現在はNerdWalletのBoard Observer, Executive-In-Residence Productとして勤務する傍ら、Stanford大学でアントレプレナーシップの講師、メンターとしても活躍。


失敗から立ち上がるためのリーダーシップ

私は2005年にプロダクト責任者としてNetflixに加わり、2009年の後半に会社を去りました。私はその期間に、リード・ヘイスティングス(NetflixのCEO)がリーダーとして成長していく姿をこの目で見てきました。そのため、2011年にNetflixが「Qwikster」の大失敗をしたとき、リーダーシップが最大限に問われる状況で彼がどのような反応を示すのかに、私は興味がありました。

その年、Netflixは「Qwikster」といったDVDレンタルサービスを分社化するプランを発表しました。この取り組みにより、顧客はストリーミングとDVDサービスで、それぞれ別のウェブサイトを行き来しなければいけませんでした。そのときまでは、ストリーミングとDVDサービスの両方で10ドルの価格設定でしたが、新しい取り組みでは各サービスがそれぞれ8ドルの価格設定で、両方を利用したい顧客にとっては実質大幅な値上げとなります。

世間からは即座にネガティブな反応が返ってきました。プランの発表から1週間もしないうちにNetflixは深夜のトーク番組で笑いものにされ、結果的に80万人もの顧客を失いました。時価総額も、180億ドルから50億ドルへと急落しています。

2011年、自身のニュース番組で、
ジョン・オリバーが”Qwikster”のリリースについて話しているシーン

私は、リードがリーダーとしてのスキルを実践している姿を見てきました。彼はよく仲間とランチを共にして様々なアイデアについて議論し、そこでのアイデアを経営陣に対してプレゼンしていました。そしてフィードバックに基づき、彼は議論しつくしたアイデアを取締役会で報告しました。フィードバックをもらうサイクルを意図的に作ることで、取締役会などの会社の重要なミーティングまでには、彼の持つメッセージは洗練したものとなっていました

「自分で犯した失敗から立ち直るのは簡単だ」

リードがQwiksterの失敗の後、ミーティングでどのようにふるまっていたのかについて、Netflixの友人が私に継続的に報告してくれました。リードはまず、周囲に自分がこれまで立て続けに成功につながる意思決定をしてきたことで自信過剰となり、謙虚さを失っていたことから説明をはじめました。そして何よりも、彼はNetflixの顧客を満足させることにフォーカスすることを忘れていたのです。

彼は次のように語りました。「私は失敗を犯しました。しかし、良かったこともあります。それはこれが自分が犯した過ちであるということです」彼は、市場の変化や競合からのプレッシャーとは異なり、自分で犯した失敗から立ち直るのは容易であることを説明しました。そして彼は皆に、顧客やカルチャー、そして戦略への共通認識を持つことでNetflixがここまで成長してきたことを再認識すれば、会社の立て直しができることを強調したのです。

彼はミーティングを次の4語で締めくくっています。

Just keep getting better.(ひたむきに成長を続けていけ)」

従業員はそのフレーズをそれから数年、ことあるごとに口にしました。そして今日では、Netflixの会員数は1億2000万人に達し、時価総額も1,200億ドルに届きました。Netflixは完全復活を遂げたのです。

「成長し続ける」リーダーに贈る4つのこと

NetflixのCEOとして20年間経験を重ねてきたリードは、以下のようなことを実践していました。

困難な課題から逃げない:逆境に立ち向かうことは、リーダーとしての重要な仕事です。リーダーは決して見て見ぬふりをしません。

ミスを認める:テクノロジー企業のリーダーとしては、リスクを取ることも仕事の1つです。そのため必然的に多くのミスを犯しますが、それを認めることで仲間もその失敗から学習します。

自分らしくある:リードが見せた謙虚さは、非常に「リードらしい」ものでした。威圧的なやり方は彼にとって効率的に感じなかったのでしょう。

コントロールではなく、コンテクストで伝える:リードは従業員を解雇する方法をとりませんでした。彼は一貫した戦略と指標を通してチームを鼓舞し、ときには印象深いフレーズを用いて長期的にモチベーションを保ちました。

私がリードについて最も感心するのは、消費者科学や戦略、カルチャーへのフォーカス以上に、リーダーシップを実践するための努力を続けていたということです。リーダーは「成長し続ける」ことにフォーカスしなければならないのです。

リーダーシップに、正しいアプローチは存在しない

リーダーを目指している、あるいはすでにリーダー、または大規模な組織を率いている人であれば、継続的にリーダーシップを実践していく必要があります。そして私たちは誰もが異なるパーソナリティを持っているため、そこに「正しい」アプローチやスタイルは存在しません。あなたに最も合ったアプローチを探すために、色んなことを試してみるといいでしょう。

しかしリーダーとしての仕事は共通しています。それは未来への素晴らしいビジョンを提供することです。『星の王子さま』の作者であるアントワーヌ・ド・サンテグジュペリはリーダーシップにおける困難と、チャンスの両方について語っています。

「船を造りたいのであれば、人々を森に呼び集めて仕事を割り振って、指令を与えたりしてはいけない。代わりに、人々に広大で果てのない海への恋心を抱かせればいいのだ」

私の経験をヒントに、あなたやあなたのチームが冒険すべき海を見つけ、決して避けられないリーダーとしての困難を上手に乗り切っていくことを願っています。

※翻訳文、見出しに一部編集を加えています。

編集/監訳

@Engagementグローバルリサーチ担当:田中萌子
https://twitter.com/om180611
体育会系グローバルマーケター。2015年、新卒で株式会社ディー・エヌ・エーへ入社。ヘルスケア事業部にてマーケティング、セールス、部署人事の立ち上げと採用を経験した後、退職し単身フィリピンへ。2018年から教育事業の海外マーケティングを担当。普段は、セブ島で無限もくもく系シェアハウスWORKROOMの管理人。海外旅行と食べることと人狼が趣味。

Reference

Leaders Lead(最終閲覧日:2019年3月25日)
https://medium.com/speroventures/leaders-lead-bc920b4b74c7

LinkedIn(最終閲覧日:2019年3月25日)
https://www.linkedin.com/in/gibsonbiddle”>https://medium.com/speroventures/leaders-lead-bc920b4b74c7

Moeko Tanaka

@Engagement副編集長 / グローバルリサーチ担当。DeNAでヘルスケア事業部にてマーケティング、セールス、部署人事の立ち上げと採用を経験した後、退職しフィリピンへ。セブ島で教育事業の海外マーケティングを担当。人狼をライフワークにしながら、無限もくもく系シェアハウスWORKROOMの管理人をつとめる。