世界で活躍するリーダーたちの寄稿記事を翻訳しご紹介する「グローバルリーダーからのメッセージ」。セガアメリカやNetflixでVPを勤めた経験もあるギブソン・ビドルが、自身の経験についてを、リーダーに向けてMediumに寄稿した記事です。第二弾は、リーダーに必要な考えや素質についてのメッセージです。

ギブソン・ビドル(Gibson Biddle)
2005年よりVP of ProductとしてNetflixに参画。Chegg社にてChief Product Officerのほか、The Leading CompanyでVP、Sega of AmericaにてVP of Product Developmentを務めた経験を持つ。現在はNerdWalletのBoard Observer, Executive-In-Residence Productとして勤務する傍ら、Stanford大学でアントレプレナーシップの講師、メンターとしても活躍。
「唯一無二のリーダーたれ」

私はプロダクトの責任者になるまでに、リーダーシップに関する多くのことを学びました。
リーダーとして経験を積むなかで、私は多くの失敗を重ねてきましたが、そのたびにリーダーとしてのスキルを発展させていきました。そしてそれから25年の歳月が流れ、多くの経営層へのインタビューを経て、私は役員レベルの候補者に求められるスキルを以下のように考えています。
- リーダーシップ:
未来への素晴らしいビジョンを提供できる能力のことを指します。 - マネジメント能力:
プロダクトマネジメントの初期のキャリアにおいて、エンジニアリング、デザイン、データ、マーケティングといった複数の領域のパートナーと協力してプロダクトを製造する能力を指します。リーダーとしての役割が大きくなっていくにつれ、マネジメントは採用や解雇のみならず、成功する組織づくりのための才能発掘にまでおよびます。 - 戦略的思考:
模倣が難しく、高いマージンが得られ、それでいて顧客を満足させる戦略を明確に述べ、定義することが繰り返し求められます。 - 率先して、結果志向で行動する:
リーダーとして、行動を起こし変化をもたらすことが求められます。誰かにやれと言われるまで待っているような時間はありません。 - 理念を持つ:
オリジナルで明瞭な理念を持つことで、メンバーはコミュニケーションをとらずとも意思決定がしやすくなります。偉大なリーダーほど理念の重要性を理解し、それを明確にすることに力を注ぎます。そうしたリーダーの態度は良きロールモデルとなるでしょう。 - 専門領域を持つ:
プロダクト部門と営業部門の経験を持っていれば理想的です(私には前者の経験が少しありましたが、後者に関しては皆無であったため、私のポテンシャルを見抜いてくれたグレッグ・べスティックには感謝しています)。
リーダーが組織に与えるインパクト
リーダーとしてのキャリアの中で、私は以下のようなリーダーシップ・ツールを用いてきました。
- ミッション、ビジョン、ブランドの定義:
インスピレーションに溢れた方法でこれらを明確に述べることで、組織の「進むべき方向」を示すことになります。 - 戦略、戦術、指標:
ビジョンをアクションへと落とし込む際に利用します。戦略によってレベルの高い明確な仮説が生み出され、戦術によって検証が行われ、指標によって成功に向かっているかどうかの尺度が決まります。 - 組織デザイン:
単に採用やチームの発展を担うだけでなく、高い統制が取れた状態でゆるくつながったチーム同士が一緒に仕事をするための組織構造を作ることが重要であると知りました。組織に「正解」はありません。私は会社の成長とともに、6ヶ月~12ヶ月スパンで実験的に異なる組織構造を試しました。 - マネジメント・システム:
従業員個人に対して毎週マンツーマンの面談をおこない、チームミーティングも毎週実施しました。四半期ごとのプロダクト戦略ミーティングに加え、毎月、全プロダクトの方向性を確認するためのミーティングをおこないました。
私の中での最も大きな変化は、「なんでも言いたい放題」のスタイルから、より思いやりのあるアプローチへと進化を遂げたことでした。かつて私は四半期ごとの戦略ミーティングで、当時は非常に小さいマーケットだったMacもサポートする必要があることに気がついたとき、ふざけて「Macなんて大嫌いだ」と口にしました。
次の日、デザイナーの仕事場を歩いていたら、自身のMacの上に気まずそうにジャケットを置くデザイナーの姿を目にしました。笑って彼を見ると、彼は私にこう言ったのです。
「Macを隠そうかと思って。あなたがMacを”排除する”と聞いたので」と。この事件により、私は自分の言葉が組織全体に行き渡ってしまうことを理解し、より用心深い言葉選びをしなければならないことを学んだのです。
リーダーに大切なスタンス

私はまた、リーダーとして学び、成長するために以下のような習慣を身につけていきました。
- 「会社にとって最善か」を自問自答する:
自己都合で考えずに、会社と顧客のニーズに基づき、高い視点をもって意思決定することの重要性を学びました。1つ例を挙げると、TLC時代に自身の担当するプロダクトチームが大きくなりすぎたことが分かったとき、苦しい意思決定でしたが、自ら縮小することを決断しました。 - 迅速な判断:
まだキャリアが浅い頃、私は多くの意思決定に四苦八苦していました。しかし経験を重ねるにつれて、70%のデータをもってしても意思決定することを恐れなくなりました。
その結果、意思決定のスピードが向上しました。さらに、間違った判断をしたとしてもやり直しがきくことに気がついたときには、意思決定がとても楽になりました。 - オーバー・コミュニケート(何度も同じことを伝えること):
組織における整合性が重要であることと、たいていの人間が1度に数個の事柄しか覚えられないことを考慮に入れれば、少量の「大きいこと」を何度も伝えることの重要性がわかります。 - 長期的な視点を持つ:
キャリアの初期では、複数の短期的なプロジェクトを任されることがあります。それにスピード感をもって結果で答えることが、会社の成功につながります。
しかしリーダーとしてより大きな役割を与えられたとき、さらに遠くを見つめる必要があります。私は、戦略レベルの考えを取り入れたチーム運営をすることで、会社を大きく成長させることに成功したのです。5年後の目標を見据え続けられれば、一見不可能なことを可能にできると分かるでしょう。 - 自分らしくある:
自分の中にあるパッションは、仲間に良い刺激を与えます。自分らしくいることは、信頼を集める最も効率的な方法でもあります。
実際に、リーダーとして新米の頃には意識的に休暇をとり、その後正気とは思えないレベルのエネルギーで業務に取り組むなどしてメリハリをつけていました。
それが「自分らしく」有り続けられたことで、自身のストレスがコントロールされ、チームにもストレスをかけることなくコミュニケーションをとることを学んだのです。
※翻訳文、見出しに一部編集を加えています。
編集/監訳

@Engagementグローバルリサーチ担当:田中萌子
https://twitter.com/om180611
体育会系グローバルマーケター。2015年、新卒で株式会社ディー・エヌ・エーへ入社。ヘルスケア事業部にてマーケティング、セールス、部署人事の立ち上げと採用を経験した後、退職し単身フィリピンへ。2018年から教育事業の海外マーケティングを担当。普段は、セブ島で無限もくもく系シェアハウスWORKROOMの管理人。海外旅行と食べることと人狼が趣味。
Reference
Leaders Lead(最終閲覧日:2019年3月25日)
https://medium.com/speroventures/leaders-lead-bc920b4b74c7
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